3年次から少人数の演習が本格的にスタートします。学生自身がテーマを決め、調査し、考察したものを発表し、受講生同士で議論をします。こうした主体的でアカデミックな取り組みは、学びの集大成である卒業論文にもつながり、洞察力、プレゼンテーション能力を養うことにもなります。ここでは、それぞれのコースのゼミを紹介します。










日本語学のゼミでは、前期は研究の基礎固めとして、「辞書を読み込み、辞書を疑う」をテーマに、ことばの研究をしています。辞書記述、論文、実例と格闘しながら理解を深め、考え方を身につけていきます。後期は個人研究が中心となります。それぞれの学生が、自分で自由に課題設定をしての発表で、毎回どんな話題が飛び出すか、新鮮な刺激に満ちています。

卒業論文題目例:敬語の規範性判断における説明原理に関する研究、日本語における動物の鳴き声、近世語の表現体系に関する研究、古典語自動翻訳プログラムを作るには、形容詞「悲し」の意味・用法に関する通時的研究






前期は夏目漱石「それから」を通して近代のことばを、後期は自分たちの会話を録音した資料をもとに現代のことばを研究しています。ことばの時代差、男女差、場面差、地域差、会話に特有の表現など扱うテーマは人それぞれです。毎日何気なく使っている日本語を改めて見つめ、言語文化や言語生活を客観的に捉えます。

卒業論文題目例:話がうまいとは何か、オノマトペに見る音象徴について、表記法の違いによる印象について、個性派歌手の歌詞研究、会話における省略について







今年度からスタートしたゼミです。前期は「自身の興味」を探究し「論文」にまとめていくにはどのような方法があるのかを、各自が興味を持った先行研究を読み解き、全員で考察を深めていきます。後期は、これまで得た知見をもとに、卒業論文のテーマを絞っていくことを踏まえ、各自が小規模な調査を行っていきます。身近なことばに対する好奇心や疑問を自分はどのような視点からどのような方法で探究していくことができるのか、基礎体力を養います。

卒業論文題目例:※2023年度より新設されたゼミのため卒業論文の題目なし


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日本語教育の現場に関わる問題を広く扱うゼミです。日本語学習者/日本語母語話者の日本語の使用状況、日本語の教科書データ(特定の項目が教科書でどのように扱われているのかを調査する)等のデータを丹念に検討することを通して、日本語教育の現場に役立つ研究を目指します。ゼミでは、3年次から司会者と指定討論者を指定して学生中心に運営しています。発言の得手不得手にかかわらず、他者との考え方の違いを楽しんで積極的に議論する姿勢を身につけてもらいたいと考えています。

卒業論文題目例:韓国語母語話者から見た日本語の「から」と「ので」ー「(으)니까」と「아/어서」との比較からー、日本語母語話者と中国語母語話者の日本語指示詞の使用実態の違いー音や匂いを指す際に選択される指示詞を中心に、日本語学習教材としてのアニメ活用の可能性―可能表現に注目して―、外国につながりのある生徒への中学国語科支援-リライト教材をもとに-






会話データ分析を行うには、自然談話、ロールプレイ、談話完成法、メディアなど、どのような種類のデータをどのように収集し、どのように分析を進めていくのかについて学んでいます。研究の方法について学んだ後は、ゼミの共同調査で実際に会話データの収集・分析を行い、実践にもつなげていきます。

卒業論文題目例:否定的な話題の会話における言語行動の分析―日韓の母語場面と接触場面の比較―、認識の異なるほめに対する返答の分析-知人関係の大学生を対象に-、LINEでの雑談におけるスピーチスタイルの分析―親しい友人同士のやりとりを対象に―、K-POPアイドルの公式Twitterに対するファンのリプライの分析―日本語・韓国語・英語を比較して―、女子大生の三者会話における話題転換の分析―初対面と友人の会話の比較―、大学生の接客場面におけるクレームの対応と印象の分析―負担度と責任の所在に着目して―

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『古事記』や『日本書紀』の神話や説話や歌謡、『万葉集』の歌を取り上げ、発表をしています。ゼミ生は興味のあるところを、注釈書や先行研究を調べて発表し、意見を交換します。指摘を受けたところはさらに調べて理解を深めます。八千矛神の歌謡や雄略記の伝承、柿本人麻呂の長歌には多くの問題があり、やりがいがあります。古事記は神様や天皇の描き方がユーモラスで親しみがわき、人間味にあふれています。万葉集の歌には現代人と変わらない情感が溢れています。今後、更に読みを深めていきます。

卒業論文題目例:息長帯比売命と天之日矛伝承、須佐之男命の考察、古事記における伊耶那美命の考察、山部赤人の羈旅歌と吉野行幸従駕歌の発想と表現、梅花の宴三十二首の考察、万葉集七夕歌の考察





中古文学ゼミでは、『源氏物語』の各巻を取り上げ、担当者が分担箇所を精読し、発表します。前期は紅葉賀巻を扱っています。発表者は担当場面の本文異同、語彙や文法の確認、風俗や慣習、現代語訳などについて調査したうえで、自分なりに問題点を見つけ考察を加えて発表します。発表のレジュメは力作揃いです。発表者以外からもたくさんの質問が出され、積極的に意見交換が行われるため、活発で活気のあるゼミとなっています。

卒業論文題目例:紫の上論、末摘花論、浮舟論、『源氏物語』の六条御息所論、『源氏物語』における「正身」についての考察、『源氏物語』の和歌の研究、『枕草子』論






中世芸能文学のゼミでは、中世芸能と関わりの深い作品を取り上げて授業を行っています。「藍染川」という作品を取り上げ、御伽草子の「藍染川絵巻」と能の「藍染川」を比較し、分析しています。詞章だけではなく、挿絵の分析もします。相違点を細かく探していくのは大変ですが、ことばの意味を考えてみたり、発表で一人では思いつかなかった意見を聞けたりと、毎回新しい発見がある楽しいゼミです。

卒業論文題目例:御伽草子『精進魚類物語』の研究、能の研究ー女性の嫉妬表現ー

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森鷗外の明治40年代に発表された短編小説を読んでいます。鷗外の創作活動が一番充実していた時期の作品です。 鷗外の生涯についての理解を深めたあと、一人一作品を担当して、資料を作り、発表していきます。 ふだん何気なく使っている言葉のひとつひとつにこだわって、その言葉が持っている意味を探ります。 きっと新しい世界が開けてくるはずです。 毎時間が、しっかりした論文を書くための練習です。

卒業論文題目例:森鷗外「ドイツ三部作」における女性像、国木田独歩の自然観と人生観、小泉八雲における「ユートピア」と日本、谷崎潤一郎研究―「痴人の愛」と「蓼喰ふ虫」を中心に―、江戸川乱歩論―「押絵と旅する男」をめぐって―







笛木ゼミでは、研究の基礎を体得し、主体的に作品を読み解く力を身に付けることを目標としています。4年次の卒業論文作成を視野に入れ、長編をじっくりと読んでいます。前期は夏目漱石「行人」、後期は「それから」を、分担して研究・発表し、みんなで意見を交換しながら読みを深めていきます。ゼミの雰囲気はとても和やかで、時には大学生活や就職活動など将来についても話し合います。ゼミの仲間の意見を聞くことはとても良い刺激となります。

卒業論文題目例:夏目漱石論―随筆から見た死生観―、『夢十夜』論、太宰治「お伽草子」論、遠藤周作「深い河」論、遠藤周作「沈黙」論







山田ゼミでは、特定の作家ではなく、様々な作家による短編小説を読み進め、グループ発表をしていきます。過去には、志賀直哉、有島武郎、萩原朔太郎、龍之介、梶井基次郎、江戸川乱歩、太宰治、坂口安吾、梅崎春生、安部公房、三島由紀夫、小川洋子、山田詠美……といった作家の短編小説を扱いました。発表にあたり、グループ内では綿密な打ち合わせが行われます。その上でゼミの場では、発表グループとそれ以外の学生との間で活発な議論が行われています。そうした経験を通すことは、文学に限らず、日常における物の見方、読み方を豊かにしていくこととなるはずです。

卒業論文題目例:「刺青」から読み解く谷崎潤一郎作品、横光利一作品から見る、主人公と女性の関係性、芥川龍之介「ぼんやりとした不安」の正体についての考察、菊池寛『真珠夫人』研究、江戸川乱歩『孤島の鬼』論―〈異形のもの〉たち






児童文学のゼミでは、前期は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を全員で精読します。後期は、近代の主要な作家作品を中心に一人一作ずつ担当し、研究内容を口頭発表します。前後期共に、学んだ成果をレポートにまとめます。

卒業論文題目例:吉屋信子「紅雀」論―理想的でない少女―、江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズにおける子ども像、安房直子作品における「鳥」、角野栄子『魔女の宅急便』―ファンタジーの中に描かれるリアル―、『西の魔女が死んだ』論―〈死〉とまいの成長―


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