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2022.03.16

オリンピアンの先輩、石原奈央子さんに聞く(中)昭和女子大学での学び

野久尾
野久尾 有紗
ビジネスデザイン学科。趣味は美術館巡り、映画鑑賞、ゴルフ。好きな画家はアンリ・ファンタン=ラトゥール。
2020年から2022年にかけ、東京から北京へと異例なオリンピック・パラリンピックとなった。昭和女子大学の卒業生で、クレー射撃日本代表として東京大会に出場した石原奈央子さんに、コロナ禍でのオリンピックの空気、昭和女子大学での生活などについてお話を伺った。
・石原さんの紹介
栃木県鹿沼市出身。昭和女子大学卒。実家の古峯神社の権禰宜。クレー射撃日本代表として、リオデジャネイロ五輪、東京五輪へ出場。

・昭和女子大学での学び

野:銃の免許を取得できるのは二十歳からだと思いますが、その二十歳、大学生の時期を昭和女子大学で過ごした理由をお聞きしたいです。

石:競技とは全然関係なく学校を選びました。大学に入る頃は「銃の免許を取ろうかな、いやいつでも良いかな」っていう感じでした。(射撃を)やるというのは決めてました。でも近くに射撃場もあるし、いつでもできるからいつでも良いかなみたいな感じで。
昭和には私が入った時には「日本文化史学科」があり、家が神社ですし、今後私も神社に携わっていくうえで日本文化を習いたいな、知っておきたいなと、その学科に決めたのかと思います。

野:神職を目指すにあたって勉強をしようと?

石:神職だけの勉強はまた別に大学がありそこで習えますけど、固執したくなかった。一つだけの専門ではなく、色々な方面から日本全体の歴史というか起伏だったり、色んな方面があるじゃないですか歴史って。そういうところを大きな視点で見て勉強したいなと思いました。神道学だけじゃなくて、大きな視点で歴史を学んでおきたいなという思いがありました。

野:具体的に日本全体の歴史のどのようなことを学んだのですか。

石:考古学のとても有名な先生がいらっしゃったので、土器とかの話から、色々な事が学べたんですよ。世界史も有名な先生がいらっしゃったし。英文学科とか他の学科も単位が取れて色々なことが学べました。知見を広げるじゃないですけど、すごく役に立ったと思います。

オリンピアンの先輩、石原奈央子さんに聞く(中)昭和女子大学での学び01

・義務感を乗り越え、愛を持つまで

野:私自身あるスポーツを習っていたのですが、好きと思えるまでに時間がかかりました。選手はトレーナーやファンなどのプレッシャーや責任感がある中で、何より「このスポーツが好きだ」という想いが伝わってきて尊敬しています。この重圧や責任と、「好き」という感情を両立させるのはすごく難しいことのように思います。学生の勉強に重なる部分があるのですが、乗り越えた瞬間について詳しく伺わせてください。

石:「目標設定」。好きなだけじゃなくて、私の場合は競技ですから、「あの試合で勝ちたい」とか、「オリンピックに出たい」という目標設定をきちんと立てると、そこに向かって頑張る自分好き!とか、そこに向かって練習してるその時間が好き!となります。「射撃好き→だからやる」の中で、目標設定を明確にするのが一番だと思います。私はクレー射撃を始めるにあたって、1点も当たらない2点も当たらないみたいな感じの時に、「オリンピックに出る」と目標を定めました。「そのためにはどうする?→練習する、先生を見つける、海外に行く」と、目標から割り当てていくように考えました。

野:実際に選手として歩み始めて、最も責任や重圧を感じたのは大体いつくらいでしたか? その理由もお聞きしてもよろしいでしょうか。

石:重圧はね、オリンピックの直前。リオオリンピックの時もそうですし、東京オリンピックの時もそうですし。直前に色んな方に「金メダル、金メダル」って言われるんですよ。もちろん金メダルを獲りたくて練習をしてきているんですけれども、「そんな簡単に言わないでよ!」っていう(笑)。全世界の人が目指しているんだから。そんな簡単に口に出せないのよ、っていうのはすごくありましたね。
ずっと言われ続けていると、「獲らなきゃいけない」、「練習行かなきゃいけない」っていう風な気持ちと同じだと思うんですけど、「獲らなきゃいけない・・・どうする?」みたいな(笑)それがすごく重圧になる時期がオリンピックの前はあります。みんなあると思う。

野:一方で、「競技が好きだな」「重圧はあるけれどもその競技に捧げたいな」というように愛着を持つ瞬間はありますか。

石:試合が終わって、やっぱり悔しいんですよ。上手くいかなくて「もうやめてやる!」「もうできない!」って気持ちは思ってるんですけど、次の試合のために練習してやるっていう気持ちもあるんですよ。そこが「あぁ、やっぱり私射撃好きだな」っていう瞬間かな、やっぱり次のことを考えちゃう。

野:なるほど。実際に悔しいと思っていながらも、次に向けたことを自然と考えている瞬間・・・

石:「次はこうしてやる!」っていうような、次のことを考えているんだからやる気もあるんだろうし、やっぱり好きじゃなければ次も考えないだろうし、あ、好きなんだなあと思いますね。
あとは、失敗しても成績が良くても、いつでも「楽しかったな、またやりたいな、この試合やりたいな」っていう風に楽しかったって思える。

野:それはいつの試合でもですか?

石:どの試合でも。散々な結果でも考えると、「またこの緊張感だとか、みんなで競っているところとか、この試合やっていきたいな」っていう気持ちになる。「あぁ楽しかった」って。

野:すごいですね。楽しくさせる何かがあるんですか?

石:何でしょうね(笑)何かあるんでしょうね、あぁ楽しかったって終わりますいつも。
フィーリングだと思いますよ。雰囲気とか。試合になると緊張感があるじゃないですか。その緊張感が好きなんでしょうね。気持ちも昂るんでしょうし、「はぁ楽しかった。また試合やりたい」ってなりますね。そのために練習しなきゃってなります。

野:緊張感を楽しいと思えるとは尊敬します。

石:あとから考えたらですよ!(笑) その瞬間は「何でこんな手震えるの」とかって嫌ですけど、後から考えると「楽しかった、もう一回味わいたい」ってなる。もう中毒ですね(笑)

オリンピアンの先輩、石原奈央子さんに聞く(中)昭和女子大学での学び02

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