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2025.12.05

【昭和学報】「質の良い就職」を目指して〜産学交流会で語られた学生のリーダーシップと成長〜

 

 11月20日に産学交流会が開催されました。この交流会は、企業や団体などの皆様に本学の教育や学生の姿をより深く知っていただく機会として、毎年開催されています。本学の卒業生が活躍する企業や、インターンシップでお世話になっている企業・自治体など、127社175名の方々をお招きしての一大イベントです。

 これまで第一部は留学経験者やダブル・ディグリー・プログラム参加者、プロジェクト学修に取り組む学生が活動を発表するスタイルでしたが、今年は趣向を変え、「リーダーシップと巻き込み力〜私のチャレンジ〜」をテーマにした学生によるパネルトークが行われました。
 第二部では分科会として、学生有志や教職員、インターンシップに参加した学生と来校者での交流が行われ、終始活気あふれる交流の場となりました。
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総長とキャリア支援センター長からのメッセージ
 会の最初に、坂東眞理子総長から挨拶がありました。その中で私の印象に残ったのは「質の良い就職」という言葉です。必ずしも大企業に就職すればよいというわけではなく、学生を大事に育ててくれる企業や、働く中で成長できる環境に就職してほしいという坂東先生のメッセージは、就活にかかわる3年生として強く心に響きました。

 続いてキャリア支援センター長の磯野彰彦先生より、「本学のキャリア支援と進路・就職活動の状況」について、キャリア支援部・キャリア支援センターが発行している「アニュアルレポート」をもとに概説がありました。
 「今日来てくださった皆様は、勝手ながら昭和女子大学の応援団だと思っています」と力強く語る磯野先生。
 本学のキャリア支援の特徴について以下の様に続けました。

 「本学の特徴は、キャリア支援センターの職員だけでなく、学科ごとに教員や職員がキャリア支援に取り組む「教職協働」の体制にあります。これはなかなか難しいことですが、本学では非常にうまく協働できていると考えています。特に個別面談については、教員、職員ともに様々なシーンで面談を行い、こまやかな対応をしています」

 坂東先生、磯野先生のキャリア支援への熱い思いが伝わるスタートとなりました。
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学生パネルトーク 3人が語る挑戦と成長
 ファシリテーターは、キャリア支援部長の伊藤純先生。伊藤先生からは最初に、本学では「世の光となろう」という建学の精神のもと、グローバル社会で主体的に役割を担うことのできる女性の育成を目指しているとの説明がありました。
 そして今回登壇したのは、様々な活動でリーダーシップを発揮してきた3年生3名です。パネルトークは、①活動の概要と参加動機、②ぶつかった障壁とその乗り越え方、③経験から得たもの、という流れで発表が行われました
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 西澤さん「ボランティアサークルENVOの再建を通して学んだ繋ぐ力」

 福祉社会学科3年の西澤美優さんは、東日本大震災で被害を受けた宮城県女川町での活動を続けるボランティアサークル「ENVO」で活動しています。年2回の女川町でのワークキャンプでは砂浜の清掃や語り部の方からお話を伺うなど、震災復興・震災学習・地域交流に取り組んでいるそうです。西澤さん自身は、震災についてもっとよく知りたいと考え参加したと話していました。

 女川町での活動は、多世代交流で地域の温かさを感じられることがやりがいだという西澤さんですが、コロナ禍で「ENVO」での活動が滞ってしまったこともあり、所属していたコミュニティサービスラーニングセンター(現:ボランティア支援室)の改組と同時に管轄団体から外れることになりました。クラブサークルとして再出発することになり、活動だけではなく体制づくりを一から始めることになりました。
 他団体との差別化や活動費用の確保のため、活動実績を改めて整理し、大学と日本財団ボランティアセンターの協定締結のために奔走。その結果、サークルとして認められ、今夏のワークキャンプは日本財団との共催事業として実施できたそうです。

 「メンバーや関連団体との話し合いの際は、相手の主張の背景をくみ取り、意見を受容することの大切さを学びました」

 伊藤先生からは「奔走する日々で大変だったでしょうが、安定した活動ができるようになって本当によかった」と労いの言葉が。西澤さんは将来、この経験を活かして医療ソーシャルワーカーとして働きたいと話していました。

金井さん「社会で活かせる即戦力を身につけたプロジェクト活動」

 本学附属昭和高等学校3年生の時に、科目等履修生として大学の授業を受けられる五修生制度を利用して入学した金井莉真さん。2つのプロジェクトに所属しているそうです。

 1つ目は山形県鶴岡市での地方創生プロジェクト「どさいぐ?鶴岡プロジェクト」。地域の特色や課題を理解しながらビジネスプランを構築する活動です。
2つ目は「日本航空(JAL)共同企画 青空留学・能登復興プロジェクト」です。日本航空(JAL)と連携し、能登半島地震からの復興と観光再生を支援する産官学協働の取り組みで、金井さんはリーダーを務めながら、インバウンド支援や英語教育を通じた国際対応強化を目指しているそうです。

 「新しいことに挑戦したかったし、実際の企業や自治体など社会と関わることに魅力を感じました。留学を控えていたので、日本の地方都市への理解も深めたいという思いが参加動機です」

 金井さんが直面したのは「リーダーとしての在り方」への悩み。金井さんが1年生の時のリーダーであった先輩をロールモデルとし、「リーダーがいなくても成り立つ組織」を目指して、意見を出しやすい雰囲気づくりや下の名前で呼ぶなど、信頼関係の構築を意識したそうです。

 ビジネスプラン実現のためのクラウドファンディングではリターン品に悩んだり、「ジャパン・ツーリズム・アワード」への応募も「学生団体が出場していいのか」と躊躇したりしたそうですが、学生ならではの視点が評価され審査員特別賞を受賞。

 伊藤先生は「大変さを仲間で分かち合いながら活動してきたことがよく伝わりました。リーダーとしての心得について、私も共感します」とコメント。金井さんは「諦めずに努力することの大切さと、思いが形になる喜び」を得たと話し、「常に感謝を忘れず挑戦し続ける人でありたい」と締めくくりました。

澤田さん「光葉キャリア塾でのサブリーダーの経験からの学び」

 歴史文化学科3年の澤田怜奈さんは「光葉キャリア塾」というキャリア支援の有志学生団体でサブリーダーを務めています。学生から学生へのキャリア支援「ピアサポート」を通じて、主体的にキャリアを考える場を提供する活動です。

「お互いに刺激し合って就活できることに惹かれたことと、就職活動について早くから知識を得たかったことが入塾するきっかけです」

 メンターカフェ(社会人メンターが経験を共有し、働き方や生き方への理解を深めるイベント)の運営や企画がやりがいだという澤田さんですが、実働を担う塾生が少なく、一部に負担が偏ることと、企画したイベントの集客不足に悩んだそうです。

 解決策として、気軽に参加できる交流会を開催し帰属意識を高めたり、イベントの事前周知をポスターだけでなく学内放送でも行ったりするなど工夫を重ねることで、参加者の増加につながったとのこと。

 伊藤先生は「温度差の違うメンバーをまとめ上げる大変さ、共感します」とコメント。澤田さんは「周りを気にかけ臨機応変に行動する大切さを学び、多様な価値観や考え方を理解していきたい」と話していました。

 なお、第一部の司会者は、光葉キャリア塾生で心理学科の山田若菜さんで、1年生ながらとても落ち着いた進行ぶりでした。

同じ3年生として感じたこと

 パネルトークを聞きながら、同じ3年生として思ったのは「こんなにも多様な挑戦の形があるんだ」ということでした。ボランティア、地方創生、キャリア支援などそれぞれ異なるフィールドで、しかし共通して「困難に直面しながらも、周りを巻き込んで何かを成し遂げる」経験をしていることが心に残りました。
 特に学科や所属サークルが同じ西澤さんの話を聞く中で、私自身もサークルのために奔走した日々を思い出すとともに、西澤さんがどのような思いでサークル代表を務めているのかを知ることができました。

 印象的だったのは、3人とも「理想のリーダー像」を追い求めるのではなく、メンバーとの対話や試行錯誤の中で自分なりのリーダーシップを見つけていったことです。
 リーダーシップというのは座学のみで得られるものではなく、自分の性格や強み・弱みをよく自覚して、周りのメンバーとの経験を重ねていく中で培っていくものなのだと考えさせられました。

おわりに

 坂東総長のおっしゃる「質の良い就職」とは、単に大企業に入るということではなく、学生時代の様々な挑戦を通じて自分を成長させ、それを活かせる場所を見つけることなのだと感じました。

 今回の産学交流会では、企業の方々に本学の学生の姿を知っていただくとともに、参加した私たち学生自身にとっても「これからも色々なことに挑戦し続けよう」とモチベーションを上げる貴重な機会になったのではないでしょうか。

 127社175名の企業・自治体の皆様、そして登壇してくださった3名のパネリストの皆さん、ありがとうございました。

執筆者プロフィール

higa
東出みすゞ
福祉社会学科

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