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2025.06.26

【昭和学報】女性教養講座「大国のエゴと国連、そして日本の対応」

 6月11日に、西田恒夫先生を講師にお招きして女性教養講座が開かれました。西田先生は、外務省外務審議官や国連大使を歴任するなど外交官としてご活躍されてきました。現在は広島大学平和センター名誉センター長、台湾国立高雄大学シニア研究フェロー、UCLA Terasaki Center理事を務められています。





 「発言し、積極的に参加すること」
 先生は何度もこの重要性について仰っていました。
 発言しないということは存在していないことと同じ意味であり、行動しないことは一番大きな悪であるという話で先生は講演を始められました。この考えは、これからの私たちにとって重要な教訓になると感じました。

 講座の中で、西田先生は『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(ヴォ―ゲル著)、『ひよわな花・日本』(ブレジンスキー著)の二冊の本に書かれた日本の評価を取り上げていました。前者における日本の強みは、現在ではほとんどが弱みへと変わり、一方で後者における日本の発言力のなさについての指摘は現在にも通じるものがあると先生は評されています。

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 そうした出版物に関する話題から一変して、講座中盤ではAI(人口知能)についてお話されています。AIの発達は世界情勢にも大きな変化をもたらしています。その一例として戦争の形態の変化を取り上げていました。過去の世界大戦において主流であった人の力ではなく、2022年2月にはじまったロシアによるウクライナ侵攻ではドローンや無人ミサイルが主体となっています。誰でも作れるような安く、簡単な兵器が人の命を容易に奪ってしまう。技術革新が社会に与える影響について学生一人一人に問いかけるように説明してくださいました。

 講演の最後に、各国の情勢が変化する中で日本は何をするべきなのか、西田先生は机の上の議論だけでなく、行動することが大切であると考えられています。日本の対応を考える中で、他の国と比較することも方法の一つであり、ドイツやロシアはどのように舵を切っているのかを例に挙げられていました。そして私たち一人ひとりの問題として考えていくことが大切であると教えていただきました。


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 私を含め、国際情勢について積極的にアンテナを立て、自分自身の問題として考えている学生は残念ながら多くはないと思います。しかし、私たちの生きるこれからの世界をよりよくするためには他人任せではなく、主体的に物事を考えることが求められます。
 この力を身に着けるために私たちが今日からできることは、西田先生が一貫して伝えられていた「発言すること」であると私は考えました。自分の意見を思いきって誰かに伝えること。こうした発言する力を身に着けることが、国際社会で生き抜くために今の私たちに出来ることなのではないでしょうか。

 西田先生、素敵な講座をありがとうございました。
執筆者プロフィール

takasu
髙須結菜
歴史文化学科
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