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2025.03.26
【昭和学報】留学生と共に学ぶ地震対策イベント 「About Earthquake in Japan」開催
2025年1月10日(金)・1月17日(金)の昼休み、8号館1階のグローバルラウンジにて、留学生と本学学生を対象とした防災イベント「About Earthquake in Japan」が開催されました。

このイベントは、一般教養科目「コミュニティ・サービスラーニング(ボランティア論)」の授業の一環として、受講学生が企画・運営を行いました。目的は、日本に滞在する留学生が地震に対する知識を深め、いざという時に命を守る術を学ぶことです。日本は地震が多い国でありながら、留学生向けの防災教育があまり十分ではない面もあるとして、企画されました。イベントには約30名の学生が参加。地震への備えを学びながら、実践的な紙食器作りのワークショップも体験しました。イベントの様子と代表学生へのインタビューをお届けします。
■イベントの背景-身近な課題からの発案
「コミュニティ・サービスラーニング(ボランティア論)」の授業では、受講学生が興味のあるボランティアの種類ごとにグループを作り、社会課題を解決するためのボランティア活動を企画・実施することが課題となっています。今回のイベントを企画した学生たちは、国際的なボランティアに興味を持つメンバーで、留学生の防災意識に着目しました。代表者の粟屋澪さん(健康デザイン学科3年)は、「本学の留学生の友人が能登半島地震発生時、旅行中でたまたま現地にいたため、1週間ほど避難所生活を余儀なくされました。特に、初体験だった日本の非常食に戸惑い、普段慣れ親しんでいる食事とは味が違うことも加わって、避難生活の厳しさを実感したと聞きました。その話を受け、誰にも同じ思いをしてほしくないという強い思いから、この企画が生まれました」と語ります。国際色豊かな本学において、留学生への防災教育の機会が限られているという課題に目を向け、アンケート調査を実施しました。その結果をもとに、「留学生の多くは地震への備えが不十分で、被災時に適切な行動が取れない可能性がある」と考え、実践的な防災イベントの開催を決めたそうです。■イベントの内容
1月10日のイベントでは、日本の地震について知ることを目的に、東日本大震災と非常食について学ぶ講座が開かれました。17日は、引き続き防災知識を学ぶ講座と、ワークショップの二部構成でイベントが開催されました。第一部では日本における地震の歴史や今後予測される災害について、学生や損害保険ジャパン株式会社(損保ジャパン)の担当の方による、英語でのプレゼンテーションが行われました。東日本大震災や能登半島地震といったこれまでの地震の実例解説のほか、南海トラフといった今後懸念される地震についての話もあり、被害状況や教訓について学びました。さらに、損保ジャパンの日本で初めての火災保険会社としての創業背景の説明や、災害から身を守るための知識を伝えることを目的に行っている「防災ジャパンダプロジェクト」の紹介もありました。参加した私自身、実際の被害例やその後の対応について知ることができ損保ジャパンの歴史や事業についての理解を深める貴重な機会となりました。第二部では、協賛企業からのサポートとして、損保ジャパンが提供する「防災ジャパンダプロジェクト」のコンテンツの1つである紙食器づくりのワークショップが実施されました。作成した紙食器を利用して、尾西食品株式会社提供の非常食の試食(今回の試食メニューはわかめご飯)もありました。参加者からは「紙食器は工程が非常に簡単で覚えやすいので、パニックになりがちな非常時でも作れそう」「災害時に役立ちそう」など、実用性の高さを評価する声が多く聞かれました。私は折り紙があまり得意ではないのですが、そんな自分でもつまずかずに折ることができ、災害時だけでなく日常的に使用できそうだと感じました。
わかめご飯、とても美味しかったです!

今回はコップ型の紙食器を作りました。
非常食の試食では、普段あまり口にすることのない味と品質を体験しました。参加学生からは「普通のご飯と変わらないおいしさに驚いた」「パサパサで薄い味という非常食に対するイメージが変わった」などの感想が寄せられました。ある留学生は「Japan is really two steps ahead when it comes to preserved food like this!(日本は非常食に関して、他国より大きく進歩している!)」と感心していました。さらに、日用品や防災用品の販売を行っている有限会社西谷の取締役で、本学卒業生でもある西谷友里さんが「ENJOY
BOUSAI」をキャッチフレーズに行っている事業や備蓄について説明してくださいました。非常食は単なる備蓄品ではなく、定期的に食べながら更新し続けるという「ローリングストック法」の重要性も知ることができました。

最後に、参加者全員にカンパンがお土産として配られ、イベントは和やかな雰囲気の中で終了しました。
■企画者の思い
イベントに対する思いや改善点などについて代表の粟屋さんにお話を聞きました。粟屋さんは、平時から非常食に慣れ親しんでおくことの必要性について「地震などの災害時に口にするものがいつもと違うと、そのギャップが恐怖や不安の中でのさらなるストレスになる。いつもと食べている物が違うから、さらに非常事態であることを実感し不安になってしまう」と説明してくれました。企画や準備段階で苦労した点については、留学生のニーズ把握のためのアンケートがなかなか集まらず、国際交流センターに協力を依頼したり、留学生の多い授業に直接出向いたりしたことを挙げました。協賛企業の獲得についても苦労したそうで、「実績のない学生の企画に協力してもらうのは難しいと大学の教員に言われましたが、地域の防災フェスタに出向いての地道な交渉と、教員のネットワークを通じて実現できました」とのことでした。イベントの改善点については、「英語だけでは伝えきれない部分があり、優しい日本語など必要に応じて言葉を選択することの必要性を感じた」と振り返りました。日本人学生にも防災への関心を高めることが必要であることや、当初留学生に対象を限定していたが日本人学生にその枠を広げることで、国際交流にもつなげることができたと話していました。粟屋さんは、「コミュニティ・サービスラーニング(ボランティア論)」の授業や昭和女子大学の魅力についてこう語ります。「社会人なら『ビジネスとして甘い』と言われかねない企画でも、今回のイベントのように、学生の熱意で多くの社会人や学生を巻き込んだ活動を行える授業です。熱意を伝えれば教員や職員が応えてくれます。『学生のうちにしかできない経験』を後押ししてくれる大学です」始終溌剌とした笑顔でお話しされる様子を見て、私は防災と国際交流というテーマでのボランティアを通じて粟屋さんたちが得たのは知識だけではなく、社会に参画して多様な立場の方と連携して課題を解決していく経験もあるのだろうと思いました。■終わりに
今回のイベントに参加して、留学生の防災知識の向上に役立つだけではなく、留学生と日本人学生の交流の場として、多文化共生の観点からも素晴らしい取り組みだと思いました。この記事を執筆した私も、「非常時になってからでは遅い」ということに気付かされ、認識を改めるきっかけとなりました。まずはローリングストックを取り入れ、日常的に防災を意識していきたいと思います。日本人学生も留学生も自身の視野を少し広げて、お互いが助け合えるように、イベントが今後も定期的に開催され、より多くの学生が参加することを大いに期待したいです。昭和女子大学は、学生の挑戦を支える環境が整っているのだなと改めて実感しました。在学生として、よりこうした機会を活用していきたいと思います!執筆者プロフィール

東出みすゞ
福祉社会学科