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2024.11.25
【昭和学報】女性教養講座「国連が目指す世界と女性の役割」
10月29日に講師の大谷美紀子先生による女性教養講座「国連が目指す世界と女性の役割」が行われました。大谷先生は、弁護士であり、2017年には国際連合「子どもの権利委員会」委員になり、2021年に委員長に就任しています。(国連センターのブログより)
大谷先生は、「憲法で人権が保障されているにもかかわらず、現実にはさまざまな差別が存在することを弁護士として実感した」として、次のように話されました。
大谷先生は、「憲法で人権が保障されているにもかかわらず、現実にはさまざまな差別が存在することを弁護士として実感した」として、次のように話されました。
大谷美紀子氏
大谷先生が弁護士になった当初は、現在のように弁護士事務所の広告も少なく、相談先がわからない、女性弁護士が少ないなど多くの課題がありました。そのため、差別を受けた女性が弁護士にたどり着くこと自体が難しく、さらに女性弁護士に相談する機会も限られていたという状況がありました。
大谷先生は人権侵害や差別を防ぐためには教育が重要だという考えに至り、1993年にウィーンで開催された世界人権会議がその考えを強く後押しすることになったのです。この会議をきっかけに、1994年に国連総会決議で「人権教育のための国連10年」が採択され、人権が人々の考え方や価値観の中に組み込まれていく「人権文化」という考え方が広まりました。
大谷先生は、人権についてより深く学びたいという思いから、コロンビア大学に留学しました。それまでは自分が女性差別を受けていると感じることはなかったものの、弁護士になってから差別を感じるようになりました。出産や結婚を通して「そんなことで弁護士の仕事が務まるのか」と冷たい目を向けられるなど、女性差別が存在していたのです。そして、留学を通じてこの女性差別に向き合おうという気持ちになりました。
1933年の人権会議頃から、多くの場で男女平等が謳われていたものの、条約の人権は男性中心で、条約を決める人々や中心に立っているのも男性ばかりでした。男女平等だけでは不十分であり、女性がどのような差別を受けているのか、一つ一つ向き合っていく必要があるということが、1997年の女性差別撤廃条約に記されています。
長年、国連は世界の平和や人権に向き合ってきましたが、平和は国連や国家だけで達成できるものではなく、ひとりひとりが価値観や行動、ふるまいを通して実現していかなければならないと思います。国連は人権が保障される世界を目指していますが、そのためには教育やジェンダーについての理解、寛容、そして連帯が必要になります。そして、あらゆる意思決定の場に男性だけではなく、女性が参画することが大切です。中心から阻害された人たちのニーズが反映されていない社会は、生きづらさや差別を生むことにつながります。だからこそ、異なる視点を取り入れていくことが必要です。
意思決定に参加することには多少の勇気が求められますが、それによって救われる人や変わることができる状況もあるのです。自分自身の考えをしっかりと持つことが大切です。
大谷先生の話を聞いて、大勢の前で声をあげることは勇気がいりますが、その勇気が誰かを救い、平和へ近づく一歩になると実感できました。一人一人の勇気が積み重なることで誰一人おいていかれない多様な社会へつながることを忘れないようにしたいと思います。大谷先生、ありがとうございました。
大谷先生は人権侵害や差別を防ぐためには教育が重要だという考えに至り、1993年にウィーンで開催された世界人権会議がその考えを強く後押しすることになったのです。この会議をきっかけに、1994年に国連総会決議で「人権教育のための国連10年」が採択され、人権が人々の考え方や価値観の中に組み込まれていく「人権文化」という考え方が広まりました。
大谷先生は、人権についてより深く学びたいという思いから、コロンビア大学に留学しました。それまでは自分が女性差別を受けていると感じることはなかったものの、弁護士になってから差別を感じるようになりました。出産や結婚を通して「そんなことで弁護士の仕事が務まるのか」と冷たい目を向けられるなど、女性差別が存在していたのです。そして、留学を通じてこの女性差別に向き合おうという気持ちになりました。
1933年の人権会議頃から、多くの場で男女平等が謳われていたものの、条約の人権は男性中心で、条約を決める人々や中心に立っているのも男性ばかりでした。男女平等だけでは不十分であり、女性がどのような差別を受けているのか、一つ一つ向き合っていく必要があるということが、1997年の女性差別撤廃条約に記されています。
長年、国連は世界の平和や人権に向き合ってきましたが、平和は国連や国家だけで達成できるものではなく、ひとりひとりが価値観や行動、ふるまいを通して実現していかなければならないと思います。国連は人権が保障される世界を目指していますが、そのためには教育やジェンダーについての理解、寛容、そして連帯が必要になります。そして、あらゆる意思決定の場に男性だけではなく、女性が参画することが大切です。中心から阻害された人たちのニーズが反映されていない社会は、生きづらさや差別を生むことにつながります。だからこそ、異なる視点を取り入れていくことが必要です。
意思決定に参加することには多少の勇気が求められますが、それによって救われる人や変わることができる状況もあるのです。自分自身の考えをしっかりと持つことが大切です。
大谷先生の話を聞いて、大勢の前で声をあげることは勇気がいりますが、その勇気が誰かを救い、平和へ近づく一歩になると実感できました。一人一人の勇気が積み重なることで誰一人おいていかれない多様な社会へつながることを忘れないようにしたいと思います。大谷先生、ありがとうございました。
執筆者プロフィール

三浦 明日香
現代教養学科
色々な人に取材したいです!