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授業・学生の活躍
2024.11.06

【心理学科】〈 授業公開レポート 〉2024年度各論科目「産業・組織心理学」:合意形成ゲーム

各セクションが更新しているブログをピックアップ! 今回は心理学科の記事です。
心理学科では、学びの土台となる概論科目である 「心理学概論」 「発達心理学」 「社会心理学概論」 「臨床心理学概論」 をベースに、「認知」「発達」「臨床」「社会」の4領域の学びを深める科目を「各論科目」として多数用意しています。
 
今回、学科内FD研修※ の一環として授業公開の対象となった「産業・組織心理学」(担当:本多ハワード素子先生)に参加しましたので、授業の様子をお届けいたします。
 
FD研修 … 教員が授業の内容や方法を改善・向上していくための行われる取り組みのことをファカルティ・ディメロップメント(faculty development:FD)と呼び、本学でも大学全体で大学教員の教育能力を向上させ教育の質を高めていくためにさまざまな活動が行われています。心理学科においても、学科内FD研修として授業公開を積極的に行い、各教員が他の教員の授業に参加することで授業運営上の工夫を学び合っています。

産業・組織心理学とは?

心理学の分野は多岐に渡りますが、産業現場で働く人びとの心理や行動特性を研究し、その知見を生産性だけでなく健全な産業活動に活かすことを目指す分野は産業心理学(industrial psychology)と呼ばれます。
 
また、産業革命以降の大量生産時代では、機械化による仕事の過渡の単調化や人間疎外感などが問題となり、組織内の行動や人間関係、リーダーシップ、動機づけなどを理解していく必要性が高まり、社会心理学的な手法も用いながら組織における人びとの心理や行動特性を理解しようとする組織心理学(organizational psychology)も誕生しました。
 
両者の研究対象はオーバーラップするところが多いため、両者が融合した産業・組織心理学(industrial and organizational psychology)として扱われるようになっています。

本学心理学科における「産業・組織心理学」の特徴

産業・組織心理学は、〈 組織行動論 〉〈 人的資源管理論 〉〈 働く人びとの安全・衛生管理論 〉〈 消費行動論 〉の領域から成り立っており、現場における心理学の応用が求められる学問です。
昭和女子大学の心理学科における「産業・組織心理学」は、民間企業および研究所での実務経験のある本多ハワード素子先生によって担当されており、組織風土※、チームワーク、リーダーシップ、そして日本企業の特性に関して、より実践的に学ぶことができます。
 
組織風土(organizational climate)… 組織内のメンバーで共有されている,その組織独自のルールや価値観のことで,明示的なものもあれば暗黙的なものもありメンバーの行動や考えに影響を及ぼしパフォーマンスを左右する。日常用語で近いものとして「社風」が挙げられる。

合意形成ゲーム

授業公開で参加した回も、チームワークに関してグループワークを通じて学ぶ実践的な授業内容でした。 具体的には、合意形成(consensus)ゲームと呼ばれる、グループであるテーマをもとに話し合い1つの結論を導き出すグループワークが行われました。
 
詳細はネタバレを防ぐため伏せますが、多数決ではなく「自分の意見を伝える」「相手の意見を受け入れる」というコミュニケーションプロセスが重視されます。 ゲームでは、個人で考えたこととグループで考えたことで、それぞれ模範解答とどの程度差があったかチェックし、グループ内でのコミュニケーションが行えたかどうか確認しました。

授業公開に参加して

私が担当する公認心理師科目でもグループディスカッションを行っていますが、事例をもとにした話し合いが中心でした。
 
一方で「産業・組織心理学」では、学生一人ひとりがチームの一員になり、まさに体験的にチームワークを学べるグループワークになっており、組織における心理や行動をより実践的に学べる内容となっていました。
 
そこで、担当している「心理演習(分担担当)」において、事例をもとに客観的にディスカッションを行うのではなく、医師や看護師役になることで多職種連携やチームアプローチの重要性、難しさを体験的に学ぶ授業内容にアップデートしました。

今後も、他の授業で得た学びを活かしながら、教育内容の改善に努めていきたいと思います。


〈 心理学科教員・岩山 孝幸 〉
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