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2024.07.29

【心理学科】100年の女性史を振り返る演劇を鑑賞して -Gender and Religion プロジェクト

各セクションが更新しているブログをピックアップ! 今回は心理学科の記事です。

心理学科の実践科目「心理学総合演習」では、キャンパスの外に出て心理学を現場で生かしたり、社会で起きていることから人の心理について考えるなど、体験的な学びを実践しています。そのうち、Gender and Religionプロジェクトでは、「ジェンダー」と「宗教」をキーワードに、人々の価値観や性の多様性を踏まえた社会を実現するためにどのようなことが必要なのかを探るため、関連する資料の調査やフィールドワークなどを行っています。

昭和女子大学の心理学科には、「心理学総合演習」という実践科目が開講されています。 前回、この科目におけるGender and Religionプロジェクトの活動を報告しましたが、その続報です。



演劇「ミモザウェイズ」上映会 4月 26 日(金)


4月 20 日 (土) から5月 11 日 (土) にかけて、青山学院大学ジェンダー研究センターギャラリーにて「共創の場:ジェンダー問題とアジアのアート・コレクティブ」が開催されました。このイベントの一つとして行われた演劇「ミモザウェイズ」の上映会、および翻訳・監修を手がけているリボアル堀井なみのさんによるトークに参加してきました。女性たちが直面してきた困難、乗り越えてきた壁、そして今に残る課題などが、見ている観客にダイレクトに伝わる演劇でした。

※ 演劇「ミモザウェイズ」とは…
性別を理由とした差別が根強く残る現代に生きる3人の女性たちが、1910年代~1970年代~1990年代~と時代をさかのぼり、女性の権利獲得に向けたこれまでの闘いと成果、課題について考える旅に出る物語。


【 学生の感想 】
― 演劇の様子 ―
この演劇では、高校までの歴史の授業では学ぶ機会が少なく記述もわずかであった女性雑誌「青鞜」や、1970 年代に行われたウーマン・リブ運動が描かれており、日本の 100 年の女性史の一部をダイジェストで学ぶことのできる教科書のようでした。
リボアル堀井なみのさんによると、この演劇は当時を経験した女性たちへのインタビューや研究を基に製作されており、一役の台詞には複数人の言葉が込められているとのことです。 そのため、役者の方々のエネルギッシュな演技を通して、当時の女性達に出会うような感覚もありました。

― 演劇を鑑賞して―
この鑑賞を通して、日本の女性の活動や世間の変化やどの年代においても女性が「自分らしくいたい」思いをもち行動を起こしていたことを知り、今の世の中があるのは彼女達の行動があったからゆえであり、その根底にある思いや原動力は今も昔も変わらず受け継がれているのだと思いました。
近年ではジェンダー問題について大きく取り上げられることが増えていますが、なかなか世の中は変わらないと思うこともあります。 しかし、一時代だけでなく複数の時代を比較し、たどることで大きな変化があったことを実感します。 この歴史を知ることで私たちがジェンダー問題についてさらに知ろうと思うきっかけにもなると考えます。

― 今後に向けて ―
今回の学びを踏まえ、今後のプロジェクト活動で日本の女性史についてしっかりと学んでみたいと思いました。 さらに、複数の視点から考えたり知識を得た上で、再度このミモザウェイズを観てみたいです。 そうしたら一度目では気づくことのできなかった新たな発見があるのではないかと思いました。

( 心理学科3年 I ) 
関連して、リボアル堀井なみのさんからは、今年 10 月に国連にて女性差別撤廃条約の選択議定書に関する審議が行われるとお知らせいただきました。

女性差別撤廃条約は 1979 年に採択され、1981 年に発行された条約で、正式名称を「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」と言います。 前回説明した世界人権宣言の後に締結された主要な国際人権条約のうちの1つで、締約国に対して、女性に対するあらゆる差別の撤廃を求めており、日本も 1985 年に批准しています。 また、選択議定書とは、条約の実効性を強化するために 1999 年に採択されたもので、個人通報制度と調査制度の2つの手続きがあります。

世界では 115 か国がこの選択議定書を批准していますが、日本は未だ批准していません。 こうした日本の現状について、今年 10 月の国連会議で8年ぶりに審議される予定です。これに向けて国会でも審議されています。

女性差別撤廃条約は人権やSDGsと密接に関連した重要な条約です。 差別がなく多様性に寛容な社会の実現に向けて、今後の動向を注視していくとともに、これからのプロジェクト活動でも性・生の平等や多様性について引き続き考えていきたいと思います。


〈 プロジェクト活動担当 渡邊 〉
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