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授業・学生の活躍
2021.12.17

「0円」でバリアフリーに挑戦する学生たち

昭和女子大学には、『0円バリアフリー』をスローガンに、学内のバリアフリーについて考える「Mai Bine(マイビーネ)」というグループがあります。メンバーの学生に話を聞きました。
Mai Bineは福祉社会学科1年の6人から構成されるグループで、学内のバリアフリーに関する調査・課題発見・解決策の提案を行っています。これは、ボランティア等を通じて社会福祉の実際を学ぶ科目「ソーシャルワークプロジェクトⅠ・Ⅱ」内での活動です。
Mai Bineとはルーマニア語で”より良い”という意味で、昭和女子大学や社会のバリアフリーの状況がより良くなることを願って名づけられたといいます。
活動のきっかけはメンバーの石出さんが前期に履修していた授業の中で、福祉社会学科の北本佳子教授が学内のバリアフリーについて話をしたことからヒントを得て、学内のバリアフリーについて調べてみたいと思ったことから活動がスタートしました。

「完全なバリアフリー」は存在しない

コロナ禍の影響を受け、調査の準備は主にオンラインで行い、夏休みを利用して学内での調査を行いました。

「0円」でバリアフリーに挑戦する学生たち_01

まず、実際に白杖、松葉杖、車いすを使用しながら、正門から教室にたどり着けるかを実験し、学内にあるバリアがどういったものかを調べました。スロープなどの改修や工事を要する課題にも気づいたといいますが、これらをすべて改善することが解決策ではないといいます。
「バリアフリーというと、どうしても設備を変えるなど、大がかりな投資が必要になるイメージがあります。しかし、必ずしもそういった資源に恵まれるばかりではありません。
また、仮に設備投資を行ったとしてもすべてのバリアをなくすことは不可能でしょう。誰かのために設備を変えてしまうと、別の誰かにとってバリアになりかねないと思います。完全なバリアフリーということはないのでしょう」
石出さん自身も、過去に半年間、実際に松葉杖を使う生活を経験しましたが、目の不自由な人に向けた点字ブロックで転びそうになったこともあったといいます。

0円でも出来るバリアフリー

また、多くのバリアは、お金をかけずとも解決できるものも多いということにも気付いたそうです。
「白杖を使って教室に入り、先生から『前から〇列目があなたの席ですよ』と言われる場面を想定して実験を行いました。その後白杖や手を使って机を探すと思いますが、その際に机が整列されていないと、途中で机を見失ってしまい、恐怖を感じます。整然と並んでいない机も、ある人にとってはバリアに感じるのだと気づきました。だからこそ、少しでも机の位置を配慮しようと皆が行動できれば、お金をかけずともバリアフリーの達成になると気づきました」

「0円」でバリアフリーに挑戦する学生たち_02

この他にも視覚障害のある人がエレベーターで一緒になった場合、何階で止まるかがわからない可能性があるといいます。これらのバリアを理解すること、そこで止まる階についての声掛けをするとよいと一人でも多く知ってもらうことの重要性を強調します。
そこでMai Bineは「0円バリアフリー」をコンセプトに身近なところでお金をかけずに実践できるバリアフリーについて考えをまとめ、情報発信に着手しました。
現在はソーシャルメディアを活用した情報発信、学科内での報告会に向けた準備、次年度に入学する新入生を対象にした働きかけ等に取り組んでいます。
メンバーの一人である福祉社会学科1年の佐藤さんは「設備投資にはお金がかかるけど、知ることは0円でできる。簡単にできることが多いので、関心を持ってほしい」と話しています。

参加メンバー

福祉社会学科 1年 石出さん・夷藤さん・江袋さん・定方さん・佐藤さん・高橋さん

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