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2018.12.25

【卒業生訪問】大好きな映画に懸ける女優松林うららさん

 昭和女子大学を卒業後、一歩踏み出して行動し続ける女性を紹介するシリーズ。
 今回は、話題の映画に出演し、大好きな映画の世界を極めようと目指している女優松林うららさん(2015年歴史文化学科卒)に話を聞きました。


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※この記事は2018年に取材しました。

話題作「飢えたライオン」で難しい主役を好演

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 2018年秋に公開された映画「飢えたライオン」で主演させていただきました。たまたま緒方貴臣監督からお話をいただき、台本を読んでぜひ演じたいと思いました。女子高生がSNSのデマの被害に遭うという現代の社会問題がテーマです。
 海外の関心も高く、シドニー映画祭、バレンシア国際映画祭など各国の映画祭の招待を受け、オランダのロッテルダム映画祭では私も学生との討論会などに参加しました。若い世代から熱心に質問が相次ぎ、国境を超える映画の力を実感しました。
 

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第22回プチョン国際ファンタスティック映画祭ではNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)に輝きました=写真左。右は緒方監督。学生時代に韓国に留学経験もあり、韓国で賞をいただけたことは大変嬉しかったです。

映画好きの両親の影響

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昭和女子大学附属中・高


 この映画のために、制服を着て街にでかけて女子高生を観察し、高校生に戻る努力をしました。私自身は、中学校から昭和女子大附属です。両親とも大の映画好きで小さい頃からよく一緒に映画を観て過ごしました。
 その父が勧めたのが昭和中学校だったのですが、入試で社会と一緒に配られた理科に気づいたのが終了時間5分前という大失態を演じてしまいました。その反動で、中2まではガリ勉の優等生でした。ところが、中3で勉学以外に興味が湧いて、女優への憧れが芽生え、そこから今までとは違ういわゆる”真面目ではない仲間”ができ、学校生活が一気に楽しくなりました(笑)。
 ファッション雑誌に載るなどして怒られもしましたが、先生方は温かく見守ってくれ、高3で演劇養成所に入ったときも「趣味ならよい」と認めてもらいました。
 大学進学にあたって歴史文化学科を選択したときは、「勉強したい」と思うこと自体、先生方には意外と受け止められたのではないかと思います。もともと歴史が好きで、インディージョーンズへの憧れから遺跡を発掘してみたくて、歴文に進みました。

自身の映画への情熱に気づいた11万字の卒論

 高校卒業後、事務所に所属して演技学校にも通い始めました。でも、当時お会いした映画監督から「ちゃんと大学生をやりなさい」と言われたこともあって、大学ではしっかり勉強しました。歴史文化学科はとても幅広く様々な歴史を専攻できます。
 映画史、ファッション史から、考古学、エジプト史、ヒエログリフ(エジプトの古代文字)まで学びました。日本舞踊をずっと続けているので能楽も、人形浄瑠璃もとても興味深く、実際に演じている方々に直接お話を聞く機会もありました。
 大学2年では、菊池誠一先生のベトナム考古学で現地調査のために2週間ベトナムを訪ねました。先生はベトナムでは有名で尊敬されているのです。発掘した品々を絵柄に添って並べるといった作業をしつつ戦争博物館などを訪問し、女優としても財産となっています。


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ベトナム考古学の現地調査(参考)


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菊池誠一先生と


 卒論は、安蔵裕子先生の指導を受けました。先生は服飾が専門で、日本舞踊の着物も興味がありましたが、女優の服飾から映画を観てみたいと、オードリー・ヘップバーンをテーマに選びました。
 先生も「素敵よね。私も大好きなの」と背中を押してくださって、書き終えてみれば11万字を超えていました。

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11万字を超える卒業論文


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恩師である安蔵裕子先生と

 ファッションはもちろんのこと、人生を通じてどんどん書きたいことが広がっていきました。女優としてだけではなく、社会的な活動も含めて女性として素晴らしい生き方です。
 卒論を書きあげて、改めて、自分が本当にやりたいのは映画だと気づきました。

女性として映画に生きる

 映画の初主演は大学1年のとき、矢崎仁司監督の「1+1=11」でした。「飢えたライオン」が2作目です。次の出演作品は、2019年2月に公開される映画「21世紀の女の子」です。
 若手女性監督による短編を集めた作品で、オーディションを受けて山中瑶子監督「回転てん子とどりーむ母ちゃん」という作品に出演しています。10月に開催された第31回東京国際映画祭で、女性監督と女優総勢39人でレッドカーペットを歩いて注目されました。

image8 (1)第31回東京国際映画祭で。前列右から2人目が松林さん

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 この作品は「21世紀の女の子の、女の子による、女の子のための映画」を掲げています。海外でも女性監督が女性目線で考える映画を製作しています。役者は作品を待たなければなりません。ですが、待っているだけではなく私も将来、作品を企画・製作してかつ演じ、国際的に活躍できる女優を目指しています。
 附属校から計10年間過ごした昭和女子大で、ずっと女子に囲まれていたからこそ、女性の生き方を考え続けてきたように思います。映画を通して、女性の生き方を表現していきたいと思っています。

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