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2022.09.12

【英語コミュニケーション学科】鈴木雅子先生:「苔」から考える~文脈による意味の違いを掴むことの大事さ

各セクションが更新しているブログから記事をピックアップして紹介します。今回は国際学部英語コミュニケ-ション学科の教員による記事です。
本日の記事は、英コミの鈴木雅子先生によるものです。鈴木先生は辞書やことわざの研究をご専門とされています。
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「転石苔を生ぜず」
古くから日本にあるような表現と感じるかもしれませんが、このことわざはA rolling stone gathers no moss.という英語のことわざの訳です。どういった意味でしょうか。
多くの辞書には2種類の意味が載せられています。「苔」を良いものと捉えると、転がる石、つまり動き回る人には良いものが身につかない、というネガティブな意味合いとなります。「苔」を余計なものと捉えると、動き回る人は余計なものを身に付けずに自由でいられる、というポジティブな意味合いとなります。辞書によっては、ネガティブな解釈をイギリス流、ポジティブな解釈をアメリカ流と説明しています。それぞれの国の文化が、その背景として挙げられています。端的に言えば、歴史や伝統を重んじ、苔を価値あるものとするイギリス、対して、新しいことに着手することを尊重し、苔を汚れとするアメリカ、ということです。
 
本当にそのような使い分けがされているのでしょうか。
アメリカやイギリスの文献、また用例をたどってみると、必ずしもそう結論付けられないことが分かります。
 
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