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授業・学生の活躍
2023.03.02

【プロジェクト型学修】燕三条プロジェクト:研修調査レポート

昭和女子大学では、社会や企業が抱える課題を学生独自の目線で解決する「プロジェクト型学修」を実施しています。プロジェクト型学修を通じて、学生は社会や企業から評価を受けながら、課題を発見・解決する思考力や行動力を養い、自分の強みを発見することができます。
 
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今回は、新潟県燕三条地域の産業を研究する「燕三条プロジェクト」の投稿を紹介します。昨年8月に行った燕三条地域での研修調査を振り返ります。
現代教養学科2年の松田です。燕研修の3日目(2022年8月10日)は、はじめに「株式会社玉川堂」(以下、玉川堂)を訪れ、その後は「つばめ産学共創スクエア」にて燕市産業史料館主任学芸員の齋藤さんに講義をしていただきました。
 
玉川堂では、銅を叩いて成形する、鎚起(ついき)銅器を製作しています。金属加工産業が盛んな燕地域の中でも歴史がある企業で、長年燕の産業を支えて来ました。当日、まずは県の有形文化財にも指定されている築100年の工場を「番頭」の山田さんに案内していただきました。燕地域の金属加工の歴史から解説してくださり、燕と玉川堂の深いつながりが感じられました。職人さんの作業風景も目の前で見学させていただきました。職人さんは集中して作業されていて、一心に作品に向き合われているご様子でした。実際に銅板や道具、着色用の薬などを見せて頂いて、製作過程がとてもわかりやすかったです。職人の皆さんは見学者に慣れておられるようで、仕事に熱中されていたのが印象的でした。見学のあとは工場の2階で山田さんにお話をお聞きしたのですが、そのお話の中でも、工場の見学を観光に繋げる、クラフトツーリズムに今後は力を入れていきたいとおっしゃっていました。
 
玉川堂だけでなく、燕全体でクラフトツーリズムに力を入れていくと、地域全体の活性化に繋がるのではないかと思います。しかし、玉川堂と同じレベルの見学の受け入れ体制を、別の企業が整えることは困難かもしれないとも感じました。
 
・・・(中略)・・・
 
この4日間の研修を通して、私は燕地域には成長を望んでいる方が多いと感じました。玉川堂の山田さんには、燕地域全体のクラフトツーリズムについて、現状の問題点や可能性を、また、主任学芸員の齋藤さんには、燕地域の今後のブランディングについて熱くお話しいただきました。1日目、2日目にお話を伺った方々も、燕地域の未来について深く考え、行動に移していらっしゃるように感じました。
 
ところで、燕地域の金属加工を中心とした産業は、伝統や現状の技術には満足していない印象を受けました。それはつばめいとの活動に顕著に表れています。インターンシップや商店街におけるまちづくりによって、新しい知見や繋がりが生まれ、日本の地域にありがちな閉鎖的な雰囲気が取り払われ、地域全体が成長しているような活気を感じました。また、地域の方々がそうして一体となって成長に向かって活動しているのは、金属加工産業という柱があるからだと思います。例えば、2日目の昼食にいただいた燕背脂ラーメンは工場の職人さんが残業の際に食べるため、のびにくい極太麺です。作業で手が離せず、食べるのが遅くなっても丼全体に背脂がかかっているために冷めにくくなります。このように、燕のソウルフードも金属加工産業の影響を受けています。この地域の方々にとって工業は生活に非常に密着していると言えるのではないでしょうか。
 
地域にとって一つの柱があることは、その地域の発展において重要な条件なのではないかと思います。今後は、産業の柱がどのようになっているのかをさらに分析し、今後の産業と地域の関係の在り方について考えていきたいです。
 
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